midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「江戸蕎麦通への道」を読む。

タイトルの時点で「イタい頑固親父が書いた説教臭い蕎麦論なんだろうな」と思って読んでみて、期待通りだったという感じ。

きちんと蕎麦の起源にまで遡って、時代に合わせてどうやって蕎麦が食べられてきたかを紹介する辺りの筆致は史料もしっかりしていてルポライター的な態度なんだが、肝心の蕎麦通への蘊蓄やら能書きを垂れる場面は予想通り見苦しかった。戦前の男あるあるなのか男女差別的な表現もあるし。男の粋な仕事、とか生き方みたいのに対する憧憬が強いのが自分と価値観が合わない部分はあるが、まぁ雑学的には楽しめた。単なる雑学にとどめておけばいいのに、色んな蕎麦の食べ方や作法、作り方にいちいちダメ出しが入るのがげんなりするのだが。「昔の職人はこんな作り方はしません」とか「本物の味がわからないと通人にはなれません」とか言われると、ホンモノなんか知ったこっちゃないし、通になんか全くなりたくないなと思う。面白いもの、美味しいものをフラットに味わえる人間でいたいものだ。