ウィレム・デフォーの「ハンター」を観る。
想像通り、スリリングで面白かった。アメリカの田舎で閉鎖的な人間関係で暮らす中の怨念とか憎悪とか、大好きなテーマが描かれる。絶滅したタスマニアタイガーのDNAを取得するために生物学者と偽ってオーストラリアの自然豊かな環境にやってきた軍人デフォーが、地元のしがらみに絡めとられた家族や森林伐採業者との諍いの中で自分の仕事に疑問を抱き自分のやるべきことを探していくという内容。
寡黙なデフォーと自然の描写がとても美しい。最近、ディスカバリーチャンネルのエド・スタッフォードの「ザ・秘境生活」にハマっていたこともあり、雪山でもくもくとタスマニアタイガーを捉えるための罠を作ったり、焚火を見ながら物思いにふけるデフォーを見てるだけでストーリーなくても楽しめる。孤独な主人公に否応なしに関わる小さな子供たちと未亡人女性との疑似家族関係も自然で、パーソナルスペースにズカズカ入ってくる家族への接し方に戸惑いながら不器用に大切に守ろうとするデフォーの姿が健気。なかなか悲劇的なラストとなってしまうが、ラストシーンは一抹の希望を感じさせる内容で余韻も良かった。