midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「バイス」を観る。

バイス (字幕版)

バイス (字幕版)

  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: Prime Video
 

 変態俳優クリスチャンベールが太ったおっさんになって演じる、第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務め、「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを描いた作品。全体がコメディタッチなので、アメリカの重要な意思決定がこんな適当に決まってたんかい!と笑えないんだが笑えるという絶妙な塩梅の演出になっている。

チェイニーは勿論のこと、ブッシュにライス、ラムズフェルド、パウエルなど実在の政治家が沢山出てきて皆面白い。一番面白いのがブッシュで、パーティで泥酔したり、名誉欲だけで重大な決断をしたりバカ息子感が満遍なく表現されていて痛快である。チェイニー自身については映画を知る前まで知らず、この映画を観る前に読んだチェイニー評がすごく悪かったので最低の政治家なんだろうと思ってたけど、政治手腕自体が最低だったとは思わなかった。独裁的な手法でイラク派兵を決めて世界に大きな影響を与えたことは確実だが、彼自身の弁明の通り彼を支持していた人の行為を代弁している部分は否めないと思う。まぁ、支持者に対してマスコミやらなにやら都合のいい情報を拡散させて自分のやりたいように世間を誘導したのはそうなのだろうが、逆にメディア戦略に長けていたという評価も出来るはず。

という訳で、観る前の印象とは変わって最低最悪の屑政治家だとまでは思わなかった。まぁ、「本作を観終わった後の色んなメンバーによる座談会」という体のラストシーンにも表れてるように、民主党びいきじゃねぇかとキレるトランプ支持者っぽい粗野な男とリベラルっぽい男の言い争いを聞きつつ、「早く帰ってワイルドスピード見たいんだけど」というあっけらかんとした声が結局アメリカのマジョリティなんだろな、という感じで、チェイニーのような政治家が選ばれる理由っぽい皮肉が込められてるんだなと。