midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「聖なる鹿殺し」を観る。

 前評判が良くて観てみたいなと思っていた一本。面白かった!外科医の裕福な中年男がある患者を手術で死なせてしまったことを発端として、患者の息子である不気味な少年が彼の家族に近づいてきて奇妙な事件に巻き込まれる、というもの。

めちゃくちゃハネケっぽい。荘厳でクラシカルな音楽。ヨーロピアンな美しい絵作り。不条理なルールのゲームに強制的に参加することになる一家。説明的描写の少なさ。徹底した登場人物たちの醜悪な行動や後味の悪さ。どれも最高。自分の中では安定のカンヌ国際映画祭の脚本受賞作。

監督のヨルゴス・ランティモス氏はギリシャの人で、アンゲロプロス等と同様海外から評判が高いらしい。「ロブスター」とかも観てみたいと思ってた一本なのだが、これ観てがぜん期待が高まった。

主演のコリン・ファレルニコール・キッドマンもいい具合にダメな大人を演じていていい仕事してるんだけど、少年役のバリー・コーガン君が最高。割と小柄でイケメンでもなく、どこにでもいる普通の少年という感じだし、恐ろしい表情をむき出しにしたり攻撃的な行動をするわけでもないのに、めちゃめちゃ怖い。唯一狂気じみてるのがパスタを食うシーンなのだが、彼自身の訳分からん会話と共に映画史に残る秀逸なシーン。