midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「入門 近代仏教思想」を読む。

特に予備知識もなく、図書館で目についたから何となく借りて読んでみた。著者がまだ30代で割とイケメンなのも興味持った。結果としては、予想していた内容とちょっと違ったけど、まぁまぁ楽しめた。明治以降の日本の仏教において大きな功績を残した5人の人物の思想や日本社会との関わりを論じた本。てっきり創価学会とか天理教とかみたいな新興仏教について分析しているのかと思ったけど、ほとんどその辺りに対する言及はなし。amazonのレビューだと5人の選び方が偏ってる、みたいな指摘もあるけど他に挙げるべき人とか全く分からん。

読んでみての気づきとしては、仏教を哲学的にとらえなおす動きが活発だったんだなーということ。明治の初期とかで廃仏毀釈による弾圧やキリスト教の広まりがあるという逆風の中、西洋の哲学やキリスト教にも詳しい東大出身の知的エリートでかつ仏教者という者が、中国から日本に伝わって千年以上経つそれまでの身近な仏教を現代的に蘇らせた、という感じか。この辺りは宮崎哲弥が仏教を論理学的に論じていた一説とか思い出した。

あと、本書は結論として日本仏教は人物や宗派の差はあれど、基本的に日本が起こして来た戦争をその時々の理屈をこねくり回して礼賛してきた過去があるにも関わらず、戦争が終わるとそれを黒歴史とばかりに封印してきており、それを「バッドエンド」と厳しく批判しているところも特長か。著名な5人のそれぞれの思索や信仰に対する解説よりもよっぽど面白かった。